快楽有限公司

四畳半の本棚

私の狭い部屋の本棚には、本も勿論入ってますが、それ以上にマンガの占める割合が多いです。最近は随分と買うことが少なくはなりましたが、それでもこの狭い家に1000数百冊ぐらいあります。
このページは、1998年12月〜1999年12月の間、読んだマンガについてのあれこれを毎月更新していました。
以降は更新はしておりませんが、それでもマンガは相変わらず私の大切なお友達です。


今月のマンガ読み (1998年12月〜1999年12月)
吉野朔実を読みながら
岩明均「七夕の国」を読む。
しりあがり寿を読みながら「ブエノスアイレス」を見る

1998年12月のマンガ読み

「白いガクラン
文芸部長白鳥姫男の詩」
しりあがり寿
新潮社発行
うわー、ハズしたなぁ、これ。
結構ギャグも昔の使いまわしが多いぞ。
進研ゼミ中学講座に掲載されてたらしい。
もしかして手ェ抜いた?
ちょっと前に買った「弥次喜多inDeep」は良かったのになあー。
うん、あれはなんだかすごくいいぞ。
ヤバイぐらいにいい。
どうしちゃったんだ?ってぐらいにいい。
でも待てよ。
この「白いガクラン」、もう一度読み直してみると
後半の「ジョーモン先生」あたりから結構イケルな。
ヒジョーにしりあがりティストだ。なんだかしみじみして、いい気持ちになる。
この人の味わいは、なんだか彼岸の淵で遊んでいるような、そんな感じがする。
静かで心地よいのだけれど少しだけ寂寥感がある。
「恋愛的瞬間 5巻」
吉野朔実
集英社マーガレットコミックス
今日、突然車がエンジントラブルを起こした。
急いで近くにあるスズキのディーラーに行く。
そこの小さなロビーの机の上に買ったばかりの「恋愛的瞬間」を置いておいた。
コーヒーを持ってきてくれたそこの会社の女の子はそれを目に留めて、
「マンガを買ってきたんですか?」 と言う。
「ああ、そうですよ。」
「なんか面白そうですね。」
「面白いですよ。見ます?」
その女の子はパラパラとページをめくり、
「なんかいいなあ。」
と何故か不思議そうな顔をして言った。
「この吉野朔実は、新刊で出て売れたらすぐ本屋から消えてしま
うので、もし気に入ったならすぐ買った方がいいですよ。」
と私。続けて、
「マンガ好きなんですか?」
と聞くと、
「子供の頃は読んでたんですが、最近は全然です。」
うーん、彼女はマンガをものすごく珍しそうな顔をして見ているぞ。ありふれたマーガレットコミックスなのに。
きっと彼女の住んでいる世界では、それはとても珍しい物なんだろうな。

さて、そこで読んだ「恋愛的瞬間 5巻」、短編ですが最初の「血よりも甘い」で何故かいきなり泣けてしまった。
心臓がひくっと音を立ててしゃくりあげたような感じだった。
やばいがね、こんな所で泣いちゃ。
きっと彼女はさらに不思議な顔をするに違いない。

この他、「サイコ 3巻」大塚英志/田島昭宇
「YASHA 5巻」吉田秋生を購入


1999年1月のマンガ読み
「陽射し」
吾妻ひでお
奇想天外社発行
(再読)
高校の時って何故か吾妻ひでお、読んでたなあ。
そーゆームーブメントだったのかもしれない。
しかし、お金のない当時にこの1200円はかなり痛かった筈。
でも、何故か私は買ったんだよなあ。
何故惹かれていたんだろう。
そんな事ばかり考えながら読み返してしまった。
いや、勿論今だって読み返すと好きです。
だってなんだか悲しいんだもん。
「ペダルに足がとどく日」
吉田光彦
けいせい出版発行
(再読)
20歳ぐらいの女の子が二人、妖しく目を光らせて、
大切な打ち明け話をするみたいにして
「丸尾末広」という単語を口にしている。
そんな場面のそばに何度か居たことがある。
その雰囲気は「あ、私も持ってるよ」とは言い難い状況なのだ。
何故なら彼女たちには、それはようやく見つけた
暗い欲望を伴ったキーワードのようだったから。
のほほんとそばから余計な口を出したら、
彼女たちの幻想が崩れてしまいそうな気がするから。
だからいつも黙っている。

吉田光彦、丸尾末広、花輪和一。 なんかこれらの作家って、
20歳ぐらいの時期に通過していく何かって感じがする。
「ぼくだけが知っている」
5巻
吉野朔実
集英社ぶ〜けコミックス
(購入)
ああ、何も言えない・・・。
一本の大きな樹だとすれば、
主幹から一番遠い所にある小さな葉の部分のところから、
誰かとゆっくり話したいな。
吉野朔実のスクリーントーンは恐い。
背景は胸につきささる。
高林妙子という女のことは私もよく知っている。
それから・・・。

1999年2月のマンガ読み
「天然コケッコー」10巻
くらもちふさこ
集英社発行
他のくらもち漫画もそうなのだが、
特にこの「天然コケッコー」に関しては、ものすごく丁寧にページをめくってしまう。
別に本を大切にしてるとか、そーゆーワケではない。
なんとゆーか、きっとそれがこのマンガのテンポなのかなあ。
内容は特にドラマがあるわけでもない、
非常に小さな過疎の村の中での話だ。
しかしそれがもう10巻も続いている。
そしてスゴイのは毎回毎回、この「なんでもない」筈の物語が
ものすごく冒険に満ちていることだ。
話が、ではなく、作家としての冒険をものすごく感じるのだ。
くらもちふさこを読むと、いつもそれを感じる。
くらもちふさこはずっと変わらず「少女マンガ家」だ。
彼女の書くのは、普通の女の子ばかりだ。
それほど特殊な状況設定をするわけでもない。
なのに。
どの作品でもずっと新鮮さを保ち続けている。
それは多分、いつでも女の子の当たり前の感情を
非常にリアルに汲み取って作品にするからだ。
そして、特にこの「天然コケッコー」は、
毎回このささやかな物語の「見せ方」にこだわっているような気がする。
ドキドキするなぁ
YOUNG&FINE」
山本直樹
双葉社発行
古本屋で100円だったのだ! ラッキー!
そしたら最近、同じコレが表紙を変えて発行されてるのね。
ラストは主人公の男を残してみんな軽やかに去っていく。
忘れたけれど「あさってダンス」もそうだったような…。
すべてが、ある場所と共に過去になっていく。
切ないんだよなあ。

他に、「フラグメンツU」山本直樹***(かなり良いシュールな中短編集)
「HAPPY AGE」前編・後編 吉野朔実を購入

1999年3月のマンガ読み
「かっこいいスキモノ」
泉昌之
96年5月30日初版発行
イーストプレス
83年に青林堂から発刊された「かっこいいスキヤキ」
はあまりにも衝撃的だった。
あれから10年以上経て、イーストプレスから出版されたのが
「かっこいいスキモノ」!
96年に発行されたそーです。
現代を生きる素浪人(笑)が、電車の中で、
正面の座席に座る女の股間をなんとか覗き見ようと画策し、
心の中に存在するまごうことなき「オヤジのスケベ心」
について探求する
名作「63衛門」。もうこれ、最高でしょうッ!
「私立探偵
エビスヨシカズ」
蛭子能収
ブルース・
インターアクションズ発行
いやー、久々に買いました、エビスさん。
「私はバカになりたい」などの、
昔の青林堂発行のものしか読んでなかったんですよ。
正直、もうつまんないかなーとあなどっておりましたが、
いやいや、「私立探偵 松尾」、
やっぱりエビスさんは天才だなあと思ってしまいました。
すごく面白かったです!
「七夕の国」4巻
岩明均
99年4月1日初版発行
小学館
うーん、3巻まで一体これはどうなっていくのだろうと期待に満ちていた。
そしてまさかこの巻で終わってしまうとは思わなかった。
正直言って、どうにもこの4巻は走ってしまったような気がしてならない。
しかし・・・、好きです。
詳しくは別項で。
その他、「棒がいっぽん」高野文子
「ヤマトの火」星野之宣を購入

1999年4月のマンガ読み
陰陽師1巻〜4巻・6巻
岡野玲子(原作・夢枕漠)
スコラ
岡野玲子は気になりつつも
ずっと読まずにきた作家の一人だった。
特にこの「陰陽師」も、書店で見かけるたびに、
手にとろうかとるまいか、悩んでいたのだ。
ああッ! もっと早く買っておけば!
そう思いつつも遅れ馳せながら古本屋で
探しまわっては買った5冊。
物語は非常に哲学的なのだが、
セリフや絵には匂いたつような色香が溢れている。
哲学というものは実は色っぽいものだとふと思う。
そうして、この物語のもう一人の主人公、
博雅と共に、
「ドキドキするなあ、晴明よ・・・」と言いつつ、
読み進めていってるのだ。
「ジジメタル・ジャケット」
泉昌之
90年11月24日初版発行
双葉社アクションコミックス
先月に引き続き、古本屋で買った泉昌之。
当時、これもみんなで回し読みしては、
頷いたり笑ったり。
バンドマン必見の名作だと思うな。
「帽子男は眠れない」
上野顕太郎
93年1月23日初版発行
講談社
モーニングKCデラックス
うーん、なんでしょ。
暑苦しいような胃もたれしそうな。
でも不覚にも笑ってしまう。
しかし、いかにも「モーニング」と
いうような感じがするなあ。
「カサパパ」
中川いさみ
93年12月16日初版発行
スコラ
中川いさみにハズレなしッ!
と思っていた。
確かにハズレではないが、
アタリでもないような・・・(泣)


1999年5月のマンガ読み
「妖魅変成夜話」岡野玲子
平成10年11月27日初版発行
スコラ発行


これは古い中国の怪異モノと言いますか・・。
「陰陽師」で言えば博雅が主人公のような話。
これまた絶妙な所でくすりと笑わせるし、
墨を多用した絵も上手いし、話も色っぽい。
これ、ちゃんと続くんだろうか、それだけが心配・・・。
「陰陽師」5巻
岡野玲子
1996年11月29日初版発行
スコラバーガーデラックス

あと少しで今の所出ている物は
なんとか揃うなあ。
楽しみ楽しみ。
「童夢」
1983年8月18日初版発行
「ショートピース」
1986年5月15日初版発行
「ハイウェイスター」
1979年10月30日初版発行
双葉社アクションコミックス
大友克洋

上2冊は誰かが持っていて学生の頃に読んだり、
または「童夢」は確かに持っていた筈なんだけど人に貸して戻ってこなかったり。
それが古本屋で1冊150円だったので買いました。
この本、強烈にタバコ臭いの。開けるとプンプン匂ってくる。
正直辟易とするけど、それもまさしく大友の本らしい。
言わずと知れた名作。何度読んでもいいね。
「六福神」
諸星大二郎
1998年12月16日初版発行
集英社ヤングジャンプコミックス

妖怪ハンターシリーズ。
「産女(うぶめ)」「海モッコ」など、古来から伝承される妖怪などが
読んでいるうちに本当にいても不思議はないような気にさせるから面白い。
諸星を読んでいるといつでも旅がしたくなってくる。
「フラグメンツT」
1997年3月27日初版発行
「フラグメンツV」1998年9月20日初版発行
山本直樹
小学館ビッグスピリッツコミックス

ああ、ようやくフラグメンツが揃ったわ。
海馬町という閉鎖された幻想的な街に住む人々の話、とゆーか。
秀作です。
「14歳」1巻〜14巻
楳図かずお
小学館ビッグコミックス

なんつっても嬉しいのが、
これ全部初版本で1冊1000円するらしい。
14冊で14000円。
それを1冊100円でわけてもらっちゃったーい!!
雑誌で時折読んでた時は訳わかんなくて、楳図はどうなっちゃったんだろ、と思っていた。
しかし、トータルに読むとこれまたいいんだわー。
楳図にとって、これが今世紀を締める作になってしまいそうだけど、
それも納得しちゃうよなあと思う。
しかしなあ、これを買ったばかりにせっかくなんとかスペースを作った本棚が、
またあっという間にいっぱいに・・・!

その他、萩尾望都「残酷な神が支配する」13巻、森下裕美「あ、似てる」、杉戸光史「ひとだま少女」を購入

1999年6月のマンガ読み


今月はこれでしょう!

「真夜中の弥次さん喜多さん」
全2巻
しりあがり寿
マガジンハウス
1996年6月20日初版発行


しりあがり寿は最初に読んだのは大学の頃、「エレキな春」だ。白土三平やその他懐かしいマンガのタッチをパロディしながら、独特の底抜けな世界を作っていく。正直たま〜にハズレ的な作品もあるんだけれど、でも大好き! 思わず声を出して笑ってしまう。
ただ…、時折、全く笑えない作品があった。面白くない、ということではない。この感情に対する名前がまだわからない。ただ、彼岸の淵で淋しいような明るいような気持ちでぽかんとしているような、そんな感覚だ。
この「真夜中の弥次さん喜多さん」は、その感覚をもっと突き詰めたような感じ。
これを読みながら私は号泣してしまった。マンガを読んでこれほど泣いたのは久し振りだ。しかもそれが「しりあがり寿」のマンガであるなんて、今までのしりあがりマンガを読んでいた私には想像出来ないことのようでもあるし、でも「ああ、そうかもな」とも思う。
長くなりそうなので、いつかまた別コーナーで

「花男」全3巻
小学館ビッグコミックス
1992年5月1日初版発行
松本大洋は、いいんだけど
なんとなくまだ手を付けてない作家でした。
うーん、これもいいッ!
これも泣いてしまったよォ!
「船を建てる」3巻
ぶ〜けコミックスワイド版
1994年12月21日初版発行
マリ吉さんが非常に泣いたとゆー
このマンガ。
古本屋で3巻だけあったので買ってみる。
「ぶ〜け」って雑誌はなんとなく地味な存在だけど、
いつも佳作を生み出してるいい雑誌なんだよなあ。
これ、早く1巻から読みたいよ。
「月下の一群part2」全2巻
ぶ〜けコミックス
1984年5月20日初版発行
これは昭和57年の「月下の一群」の続編。
その後の「少年は荒野をめざす」や
「ジュリエットの卵」に続くような、
世間ズレしたエキセントリックな少女の原型が見える。
現在に比べて「少女マンガ」という枠の中にきっちり入ってはいるけれど、
後半にゾクリとするようなセリフを忍ばせているところが、確かに吉野朔実!

*その他、丸尾末広の「キンランドンス」「薔薇色の怪物」
諸星大二郎「西遊妖猿伝」2巻、4巻
吾妻ひでお「ななこSOS」を購入

1999年7月と8月のマンガ読み


暑いんじゃぁ〜。暑いで今回は手抜きじゃあッ〜!
遅れ馳せながら望月峯太郎の「鮫肌男と桃尻女」を買った。犬の名前は「ジョン・ウー」だし、主人公鮫肌の2丁拳銃といい、至近距離での撃ち合いといい、どう考えてもそこら辺は「挽歌」テイスト。各キャラがそれぞれ面白いだけに、もうあと少し話を引っ張っても良かったような気もする。
吉田秋生「YASYA6巻」と、田島昭宇×大塚英志「サイコ4巻」も買ったっけなあ。
そうそう7月はようやく岡野玲子「陰陽師」7〜8巻を買ったのだ。これでスコラ社から出ている分は全部だ。と思いきや、もう白泉社から改訂版が出ているじゃないかッ! 悔しい〜!!
しかし、この7〜8巻も非常に奇妙な味わいがあって面白いのだ。何度も読み返しては楽しんでいる。
青林堂から発行されているしりあがり寿「コイソモレ先生」をBOOK OFFで買う。知らなかった、コイソモレ先生だけで一冊編集されていたとは。しかし、探したら他の出版社からも出ていたぞ。コイソモレ先生はしりあがりの4コマ。私が大学の時に宝島で読んでいた作品も収録されている。「珠玉」という言葉がこれほどピッタリくる4コママンガを私は他に知らない。

8月に入ってからは1冊もマンガを買ってないや。お金がないのと、そして暑さのせいなのだ。もっぱら夏は、ぬる〜いお風呂の中で、本棚からマンガを取り出し、再読している。
そんな中で改めて感動したのが、ひさうちみちお「日本で一番ジャングルな日」だ。私は理屈が好きだ。しかも、ヒジョーにアヤシゲな理屈が結構好きだ。ひさうちさんはエロ漫画もいいけれど、この系統の作品がなんとも言えず好きなんだ。
さて、夏といえばホラーだよね。
そんな訳で伊藤潤ニだ。富江シリーズなどを読む。伊藤潤ニってなんでこんなに笑えるんだ?! 楳図もたまになんじゃこりゃ?!と言いたくなるセリフや展開も多いけど、笑えないんだなー、これが。しかし、伊藤潤ニは確実にどこかおかしいぞ。

あと読んだのは萩尾望都「残酷な神が支配する」か。
正直言っちゃうとここんところあんまり面白くないんだ。とにかく今回はものすごく丁寧に物語を描いている。当初はジェルミがサンドラとグレッグを殺して終わるんだと思ってた。ところが、その後からが異様に長い長い。今は物語はイアンの目を中心に描かれている。ジェルミの心を知るために、イアンは何度もジェルミに過去を問いただす。読者にとっては、それは既知のことなんだ。しかし、それはイアンは知らない。だから知っていく過程をこれまた丁寧に描いているんだ。ここら辺、普通の作家なら省略しかねない。「出来事」が優先の作家ならば。しかし、今回萩尾望都が意図しているのは、彼らの心の中にあるものだ。だからどんなにクドくなろうが、決して手を抜かずに描いているのがわかる。それに対して手を抜くことは、人の心に対しての、そしてこの作品に対しての冒涜になってしまうからだ。
けれど、それと同時に今まで以上に作家の苦しみさえも見え隠れしているような気がする。

1999年9月のマンガ読み


9月も引き続き貧乏なのだ。そんなことで買ったのはたった3冊。しかし、濃いぞッ!ちなみに10月も極貧状態であることは、悲しいかなほぼ間違いないようだ…。
まずは、ずっと再開が待たれていた望月峯太郎の「ドラゴンヘッド第8巻」だ。
う――――――ん・・・・・・・・・・・・・・。どーなんだろか。
とにかく早く9巻が読みたい。そんだけだ。つまり、この8巻は9巻のためのステップ、としか思えないんだー。2巻まではホントに面白かった。しかし、それ以降は、この物語が全て終わってからじゃないと判断出来ない、そんな感じがしてるんだ。

で、くらもちふさこの「天然コケッコー第11巻」を同時に買う。ある小さな村で繰り広げられるささやかな世界だ。先の「ドラゴンヘッド」は世界を相手にしたマンガだ。それに比べてこちらの世界は、面積で考えたら非常にちっぽけだ。なのに、なんて冒険心に満ち溢れているんだろう。
そう、くらもちふさこは非常に冒険的なマンガ家だと思うんだ。彼女の描く世界は特殊ではない場所の特殊でない出来事なの。ところが、毎回毎回、ものすごく丁寧にその心の機微を「マンガ」にして描いていく。

例えば変な比較かもしれないけれど、やはり私の大好きな吉野朔実と比較してみよう。吉野朔実はそれをモノローグとして文章化していく。そして、彼女がマンガで表現したい世界は、実はそんなに多くないような気がする。ある一本の大きな樹から、いろんなものが派生しているようで、元を正せばそれは、あるひとつの何かに集約されるような気がするんだ。その「何か」に反応してしまう人は、吉野朔実がたまらなく好きになる。しかしまた、彼女の描くキャラは、まるである一人の人間の裏表のように、どれもこれもが似通っている。

ところがくらもちふさこが描きたいのは「すべての普通の少女」なのだ。「すべての」だから、いろんなタイプの女の子がいる。それを見事に描き分けてしまう所がホントーッにすごいッ! これほど毎回、いろんな人物をステロタイプにならず描き分けていく作家が他にいるかなぁ。しかも非常にいきいきと、どんな女の子も魅力的に!
そしてもうずっと長い事少女マンガ界で第1線で仕事しているのに、いつもいつも新鮮な構成を考えている。吉野朔実はモノローグで表現し、または他の作家は絵で表現する所を、くらもちふさこは「構成」で表現していくのだ。それは非常に映画的な方法のように思う。彼女の中には「演出」或いは「監督」的な視点がものすごくあるように感じる。そしてその表現方法は、いつも何か新しいものに挑戦していこうとする気持ちをひしひしと感じるのだ。

この「天然コケッコー」は、そのマンガの流れと同様に、ものすごくゆっくり、丁寧に読み進めてしまう。そして、読むたびにすごく新鮮な何か、くらもちふさこの「マンガ的冒険心」を感じて、ドキドキしちゃうんだ。

さて、9月最後に買ったのが、これまたようやくと言う感じですが、しりあがり寿の「弥次喜多 in Deep」だ!
これははっきり言って「真夜中の弥次さん喜多さん」よりもスゴイ!
いや、あれは泣ける。しかしこちらの方は非常に悪夢の感覚がはっきり出ている。現実と幻覚の境目を無くした、容赦ない悪夢だ。
文句のない力強さ。もう恐ろしいほどだ。

さてこの2巻最後に「幸」(さち)という少女が登場する。
私はこんなに凄まじい少女の死体を見たことがないぞ。
いろいろと問題を呼び起こした田島昭宇×大塚英志の「サイコ」は女達の死体が満載だ。しかもそのどれもがグロテスクな殺され方をしている。しかし、そこに凄まじさを感じない。死体はそこでは美しい商品カタログ同様に見えなくもないのだ。

一番私が衝撃を受けた死体は、永井豪の「デビルマン」だ。人が人狩りをする恐怖。ヒーローが最後まで守るべきヒロイン、牧村美樹は、狂気に駆られた群集の手により、ひどい姿で惨殺されてしまう。
しかし、私の中で、この「永遠の1番」が変わってしまった。
それは「幸」だ。一度死に、弥次さんから死姦され(おいおい、弥次さんよ・・・)その後死んだままに生き返った少女。殺されまいと走りながら手が足が無残にももげ、深く切り裂かれながらも、それでも逃げる少女。この悪夢の続きは…? 3巻は今年の中秋だそうだ!


1999年10〜12月のマンガ読み


秋は全然マンガを買えなかったのだ。そーなのだー、ずっと12月までビンボーだったのさー。いつもこんなことばっか言ってんなぁ、わしは。
11月にようやく「弥次・喜多in DEEP3巻」を買う。あまりにも壮絶だった1〜2巻に比べたらちょっと落ち着いてきちゃったかな。
12月末に入り、近所の古本屋が閉店することを知る。なんだかなぁ、残念だ。しかし、新しい古本屋(変な感じだな)が結構、続々と潰れていくぞ。
とにかく安いので、まずは吉野朔実「王様のDINEER」、これは随分昔の作品だ。
それから山本直樹のエロ漫画時代の方のペンネーム「塔山森」の「準子さんの肖像」「キはキノコのキ」。塔山森はずっと探してたんだけど今までなかなか見つけることが出来なかった。で、初めて読んだんだけど、しかし・・・、現在の「山本直樹」の方がよっぽどエロだった・・・。
それから、何故か欠けていた楳図かずお「わたしは真悟」スーパーヴィジュアルコミックス版@A巻
久々に読んだけど、素晴らしすぎるッ! 恐ろしいほどの「子供魂」を持った人だ、楳図かずおは!

うーん、この秋はこんな所だったかなぁー。